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2022年6月28日
vol.94「複体星座―今昔」モナ・カサンドラ

「複体星座について詳しく知りたいんです」

ある日、プロを目指す方が主に受講されている西洋占星学の演習講座で、
こんな質問がありました。

複体星座というのはダブルボディとも呼ばれ、
2つの要素を合わせ持つ星座のことです。
もっとも複体星座という名称を知らなくても、
星座の性質をきちんとわかっていれば、
ホロスコープを推理分析する上では何の問題もありません。
大事なのは名称を知っていることではなく、
いかに星座や星の本質を理解しているか、ですから。

なので、この質問は初級や中級ではなく演習で出てくるわけです。
ところで、気になったのは、 この複体星座、
生徒さんと私とでは分類される星座の数が違っていたのです。
私が占星学を学んでいた今は昔、
複体星座といえば、双子座、乙女座、射手座、魚座の4星座でした。

ですが、生徒さん達の知る複体星座は、
双子座、射手座、魚座の3星座だったのです。

いつの間に、複体星座は3つになったのか?
気になります。ネットで検索してみました。

ネット検索というのはとても便利ですね。
ちょっと疑問に思ったこと、不思議に思ったこと、
度忘れして出てこないことなど、キーワードを入れれば、
さっと答えを見せてくれます。

「複体星座」に関する記述もいろいろ出てきました。
なるほど、双子座、射手座、魚座の3星座とするものが多いです。
それで生徒さんはこの3つの星座を複体星座と思ったわけですね。

「なぜ乙女座は入らないのか?」なんて、
疑問を呈する記述まであります!
他の3つの星座は柔軟宮という分類(区分)に入るので、
同じ柔軟宮にある乙女座が複体星座でないのが気になったようです。
あっ、でも、乙女座を複体星座として扱っている人もいます。

さて、そこで私の疑問。
『乙女座は、いつ複体星座から消えたのか?』 by日本のネット検索

占星術は大昔から伝承されてきています。
最初は星辰信仰に始まり、今のような形で成立したのは
2000年くらい前と言われています。
バビロニアからギリシアに入り、ヘレニズム時代を経てのこと。
古代バビロニアのシュメール人の天体観測に始まり、
カルデア人によって作られたとされる占星術の星座にまつわる神話が、
ギリシア神話なのはこのためです。

消えていく知識というのもあるものです。
新しい理論によって改訂されてもいくでしょう。

けれど、私が占星学を学んだのは、確かに今は昔でありますが、
日本では昭和の時代のこと。
ここ40年あまりの間に通説が入れ替わった? 
それともネットの世界だけ??

最近は私が学んだ頃よりも占星術の本がずっとたくさん翻訳されていますし、
複体星座が3つの理論を打ち立てた人がいた? とか?
占星術の場合、国内と海外では研究者の数が違いますから、
そういうこともあるかも、ですね。

そういえば、占いに使う東洋の暦が2種類あるのは、
その昔、書き写した人が書き間違えたから、
という説を聞いたことがあります。
コピーや印刷の技術がない頃は書写でしたものね。
誰かがうっかり乙女座を入れ忘れたとか??

つらつらそんなことが気になり、改めて本など見直してみると、
複体星座について触れられているものはほとんどなく。
まあ、私の持っている本の数など知れていますが。
ただ、双子座、射手座、魚座の3星座とするものは見つかりませんでしたが、
双子座、乙女座、射手座、魚座の4星座のものはありました。

正直、覚え間違えでないということがわかり、妙にほっとしてしまいました。
ネットの力はすごいですね。
あまりに3つとする説が多いので、
浸食されそうになっていたようです。

なぜ、いつ、乙女座が外されてしまったのかはわかりませんでしたが、
もしかすると、その星座を示すカタチのせいかもしれませんね。

双子座(双児宮)は、神の子ポルックスと人の子カストルが向かい合った姿で描かれ、
まさに見るからに複体。

魚座(双魚宮)は、愛と美の女神アフロディーテとその子エロスが魚に変身した姿。

射手座(人馬宮)はケンタウロス属のケイローンで、上半身は人、下半身は馬。

どれもまさに複体、ダブルボディという感じです。

乙女座(処女宮)はといえば、麦の穂を持つ農業の女神デメテルとも、
正義の女神アストレアともいわれています。
複体に見えない? でも、そうでもないのです。
この星座は翼を持つ乙女(女神)の姿で描かれていますから、
人と翼で複体ということになるのでしょう。

でも、理論として面白いのは、
これらの星座が季節の変わり目に先立っていて、

双子座の前半は春であり、後半は夏。
乙女座の前半は夏であり、後半は秋。
射手座の前半は秋であり、後半は冬。
魚座の前半は冬であり、後半は春。

というように、2つの季節を含むということです。

占星術の最重要ポイントである
春分、夏至、秋分、冬至に先立つのが複体星座なのです。
考え方としては、東洋の「土用」と似たような役割を果たしているのかもしれません。
この理論でいけば乙女座が複体星座から外されることはなさそうです。

今日も演習講座の授業は教え、教えられ進んでいきます。
これは占星学の周辺知識で、
知っていてもいなくても大きな違いは生まれないかもしれません。

けれど、「占星学」という思考方法を持つことは、意味あることと私は思っています。
日常生活を離れた知識ではありますが、
毎日の運勢を見れたりもして、日々の生活に密着したりもしています。

気が向いたらあなたも星の世界に遊びに来てくださいね。