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2022年2月4日
vol.89「星は誘えど」朝風 かおる

「星は誘えど、強制せず」。

中世の神学者であり哲学者であった、トマス・アクィナスの言葉です。
星読みの勉強をしている方なら、
一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

キリスト教の僧侶がなぜこのような発言をしたのか、
言葉の背景についてはWikipediaに譲るとして、
何百年も前の金言が現代につぶやかれる理由。
それは占星術、特に現代占星術において、
惑星と運気の関係、惑星と心の関係を
端的に言い表しているからだと思います。

私自身も体感として納得し、
これ以上シンプルに占星術の本質を表現した言葉はないだろうと思います。

惑星は自律的に運行していきますが、
ある日、星と星が影響し合う位置に来たとして、
実際に何が起こるか正確に当てることは難しいものです。
惑星にはそれぞれ象意があるので、
星と星、アスペクトとの組み合わせである程度の予測はできますが、
象意の中の何が現実化するかは実際に起きてみないとわからないという、
曖昧さはどうしても残ります。

また過去のホロスコープも、
当時の惑星の位置を記録しているだけのものなので、変えられません。

ある人が生を受けた時、手にする出生のホロスコープ(ネイタル)は一生で1枚。
現代人の一生は長いので、
歩む過程で思想や価値観が変わっていくのは当然の流れです。
にも拘らず、幼児のときも大人になってからでも、
出生の星を読むとその時々の状況に合っているなと感じることが多いのです。
基本性格はブレないのですから、
いつ見てもそう思うのは当然なのかもしれません。
しかしネイタルの星たちが示す象意の中で、
成長や環境に合わせて無意識のうちに
その人が表現を選び取っている可能性も十分あるのです。

惑星はいつでも可能性を示し、実現を「誘う」のです。
トランシットの惑星たちが示す配置は、未来に予測できる環境。
それが求める未来であれば、
今まで通りの努力をしつつ時期を待つのも良いでしょう。
しかし、求めるものでないなら拒否することもできます。
ホロスコープを分析して環境の整う方向を変え、
現実化の方向を変えれば良いのですから。
仮に、気付くのが遅れるなどして環境が整ってしまったとしても、
難しくはあっても後から展開を覆せないわけではありません。
星の啓示を受け入れるか拒否するかは、自分次第。

ネイタルのホロスコープに関しても、
分析した結果、性格による思考傾向がわかることがあります。
その思いグセをコントロールできれば、
理想の未来を手にする確率はグッと高まります。

どちらも時間がかかるし確実ではありませんが、
星はいつでも可能性を指し示すだけです。
ネガティブな啓示が出ても、自分の理想とは違う結果が出ても、
怖がったり悲観したりし過ぎないようにしましょう。

星の啓示にも自由意志の入る部分が残されています。
もし星に示されていない部分に求める未来を見つけたときは、
逆にホロスコープを戦略地図や羅針盤として用い、
求める未来を掴むための挑戦をしていただければと思います。