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2019年5月4日
vol.56「読書とフラストレーション」アイラ・アリス

私は読書好きの母の影響もあってか、
本を読むのが好きな子供でした。
子供のころに本に触れて育つと、
大人になってからも活字を読むことに
あまり抵抗がないように思います。
でももちろん、読書があまり好きではない子もいますよね。
むしろその方が多数かもしれません。

私は少し前まで、
「読書が好きでなくてもスポーツが好きとか、音楽が好きとか、
それは個性なのだから問題ではないし、好みを強要するものではない」
と思っていました。
でも「国語ができないと算数の問題の意味も分からない」
と言われれば確かにそうだな、と思いますし、
大人になってからも文字を読むという習慣がないと、
必要な情報を受け取れない、ということになりかねませんね。

     

最近はそういったインプットに関する課題に加えて(もしかしたらそれ以上に)、
アウトプットの方にも問題があるのだな、
ということについて考えています。
アウトプット、つまり自分の伝えたいことをきちんと相手に伝える、
気持ちや状況を適切に理解してもらう、ということです。

言葉というのは不思議なもので、私たちはたとえ誰にも話さなくても、
ものを考えるときには言葉を使って考えます。
ですからボキャブラリーが極端に少なかったり、
自分の気持ちを表す適当な手段がなかったりすると、
それは相手に伝わらないばかりか、自分自身でさえ
自分が何に対してどんな感情を持っているのかがわからず、
フラストレーションがたまることになってしまうのです。
はけ口のないフラストレーションというのはなかなか恐ろしいもので、
私たちの心や体を少しずつ蝕み、ときに病を引き起こすこともあります。

カウンセリングの現場では、
ご相談者と一緒に絡まった感情の糸をほどいたり、
問題点を抽出したりするお手伝いをします。
悩んでいるときというのはどんな人でも心が混乱しているものですから、
その交通整理をするのも私たちの重要な仕事です。
でもその作業が時間内に収まらなかったり、
ホットラインなどの無料電話相談では
お一人にそれほど長い時間はかけられないので、
難しいこともあります。

そんな時に私はよく、
「心に浮かぶこと、思ったことを何でもよいから紙に書き出してみましょう」
とお伝えします。
やってみたことがある方もいらっしゃると思いますが、
これは手軽な割に心の整理と
フラストレーションの吐き出しにはとても効果が高いものです。
「なんだかわからないけれどもやもや、むしゃくしゃする」
なんていう人はぜひ試してみてくださいね。

言葉は他者とのコミュニケーションに必要なツールであるばかりでなく、
私たちの心を組み立て、整理し、癒すことにも力を発揮します。
そう考えると、子供のころに少なくとも
活字アレルギーにならない程度には文字に触れ、
本を読むことの楽しさを教えてあげることは、
とても大切なことのように思います。

もちろん、大人になってからでも遅くはありません。
エッセイでも、詩集でも、絵本でも。
勉強のため、知識を得るためだけではない、
心の栄養のための読書が、きっと私たちには必要です。