先日、日本時空心理学協会の講演会にて、天文学者の柴田晋平先生のご講義を拝聴しました。
占い好きの私たちがワクワクするような、とても興味深いお話ばかりでした。

そして、先生のご講演の中でも、その後の懇親会の席でも話題にあがったのが「生成AI」です。
昨今は、「ChatGPTを使って1週間で占い師になろう!」というようなビジネスもかなり増えてきたので、AIと占いの市場調査のために実践的に“チャピって” (以前から言ってみたかった) みました。

生年月日から抽出されるホロスコープや東洋占いの命式は、間違っていることも多いようです。
指摘すると修正してくれたり、「そういう出し方もありますね」と誤魔化されたり?することも。

ただ、正しい命式からの性格分析や、悩みへの回答は、あたたかく心に寄り添ってくれるものでした。
私の属性や過去の質問を分析して回答が生成されるわけですから、「そう言ってほしかった」「私のことをわかってくれている」というパーソナルな納得感を得られるのは当然なのですが、予想以上の満足度でした。

心の悩みを相談するという用途においても、利便性はかなり高いです。事前予約や時間制限なし。そして無料。(有料版もあり) 
24時間いつでもどこでも、相手に気を遣うことなく延々と相談できます。

使ってみた感想としては、相談業のツールとして現時点でもかなり優秀。
占術家にとってビジネス上は強敵なのでしょうが、もしAIにちゃちゃっと相談して心の悩みが解決するのであれば、実用主義の立場から結果オーライです。
気軽に手軽に幸せになれるなら、それに越したことはないでしょう。

また、エンターテインメント的な占い診断は十分に楽しめます。
しかし、現状の生成AIで本格的な占いを学ぶ、またはそのまま鑑定に使用するには、まだハルシネーション(事実とは異なること)が多く、回答を真実なのかチェックすることが重要だと感じます。
チェックするには正しい占いの知識が必要になるので、結局は今のところ、従来のように講座や書籍を通じて研鑽を積むことは避けられないのではないでしょうか。

総じて、このコラムを書いている時点では、私はAIが占術家の存在に完全に置き換わるとは限らないと考えています。

なぜなら……占いは単なる未来予測行為でも、あるいは単なる人生相談でもありません。
そこには、占術家の声や間や空気感による癒や、双方の人間らしい人柄や感情に根ざした交流、運命や宇宙への畏敬といった、情緒的な要素がたくさん存在しています。
中でも「直観」や「信じる心」や「偶然に意味を見出す力」は人間固有のものであり、おそらくAIには理解の到達がなかなか難しい部分だからです。

とはいえ、生成AIは技術革命史上、最速で進化中です。
今後、AIが占術を高い精度で担うようになるなら、人間の占術家は「感性」や「深い対話」といった、より人間らしさを求められる領域へと役割がシフトしていく可能性はあります。
これは、医療においてAIが診断を補助する一方で、医師は患者の心のケアに注力できるようになるのと似た構造かもしれません。

AIと共存して、占いがより豊かで有用なものに発展していきますよう。
明るい未来を期待しています。