少し前に、長年の夢がかなって「チャグチャグ馬コ」を見に行くことができました。

「チャグチャグ馬コ」は岩手県滝沢市で毎年6月の第二土曜日に行われるお祭り。「チャグチャグ」と鈴の音を響かせて、色鮮やかな衣装で着飾った60頭ほどの馬たちが、約14kmの道のりを行進します。

馬産地としても有名な岩手県では、かつて農耕で働いてくれる馬たちをとても大切にしていました。南部藩の領内には「南部曲り家」というL字型の民家が多くあったのですが、ここでは人も馬も一つ屋根の下で、家族として暮らしていたのです。その大事な馬たちの無病息災を祈るために、馬の守り神である神社へ馬と一緒にお参りしたのがこの行事の始まり。

馬というと競馬などで見るサラブレッドを想像する方が多いと思いますが、ここで行進するのは、重種馬と呼ばれる大きな馬。力は強いですが穏やかな性格で、とてもかわいいのです。行進には仔馬もたくさん参加し、お母さんにくっついて、ときにお乳を飲みながら歩く姿は癒し以外の何物でもありません。

参加者は、自分の馬を手作りの美しい衣装で飾り、誇らしげに歩いていきます。沿道で見守る人たちも、縁のある馬や乗っている稚児を応援します。日本各地にも、そして世界中にも馬が登場するお祭りはたくさんあると思いますが、これほど愛情にあふれたものは他に類がないのではないかと思うのです。

1978年に無形民俗文化財に指定され、2022年にはパリのシャンゼリゼ通りのパレードにも参加したチャグチャグ馬コ。皆さんも、機会があればぜひ見に行ってみてください!